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時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

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二人の盗人の光と影-藤沢周平「驟り雨」

「驟り雨」

藤沢周平「驟り雨」
(新潮文庫)


この短編集の大方は哀しい江戸の女の物語なのだが、
本の表題にもなっている「驟り雨」と「贈り物」という二つの物語は、
盗人を主人公にしたものだ。
これがなんとも秀逸。

「贈り物」

「贈り物」は死を予感させる病気に憑かれたある老盗が、
親身に看病してくれた同じ長屋の女の窮地を救うために、
最後の盗みを働き、死んでいくというお話。
亭主に捨てられた三十半ばの、
あまり器量よしでもない女とのつかの間の交情に、
残り少ない人生を賭してしまう老盗の心根が妙に胸を打つ。
そして盗んだ金をもらい、いいつけどおりに、
老盗との関係を知らぬ存ぜぬで口をぬぐった女が、
結局自分はただお金が欲しかっただけではなかったか、
と最後に思い至るのも、かなりやるせない。
こういうのが人生なのかも知れない。

「驟り雨」

もうひとつの「驟り雨」は今まさに盗みに入ろうとして、
八幡さまの軒下に潜んで、そのチャンスを待っている盗人が、
その境内に現れる色んな訳ありの人々によって邪魔され、
とうとう最後には幼い娘の手をひいた病気の女が現れることによって、
盗みを諦め、母娘を家まで送っていくという物語。
犯罪の一歩手前で引き返し、慈悲なるものに動かされて、
母娘の前に現れると、女を背負い、その幼い娘の手を引いて、家路に着く。
「人生捨てたもんじゃない」
という晴れ晴れとした盗人の呟きが聞こえてきそうだ。
盗人と若い母親との間に愛が芽生えそうな予感もする。

この盗人二人の行為のベクトルは、一見正反対だが、
二人は同じ地平に立っているようにも思えてならない。
生死、善悪、幸不幸、
綾なす境涯に紙一重のように生起するものに翻弄される人間。
短編集に収められているこのほかの女たちの物語もまたしかり。

それにしても藤沢周平の情景描写の確かさは舌を巻くばかり。
「贈り物」の中で老盗の作十が、
昔の盗人仲間である寺男の六蔵を訪ねていく折の描写がすごく良い。
おかしな言い方だが、 まるで文字の映画。
これぞ藤沢周平的世界。

そのほかの収録作品

「うしろ姿」
「ちきしょう!」
「人殺し」
「朝焼け」
「遅いしあわせ」
「運の尽き」
「捨てた女」
「泣かない女」

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2008-09-07(Sun) 16:17| 藤沢周平の世界| トラックバック 0| コメント 0

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