プロフィール

-rainbird-

Author:-rainbird-
時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

フリーエリア

ランキング

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

ブックマーク

スポンサード リンク

Link

フリーエリア

RSSフィード

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



--------(--) --:--| スポンサー広告| トラックバック(-)| コメント(-)

侍暮らしというイメージ-藤沢周平「秘太刀馬の骨」

「秘太刀馬の骨」

藤沢周平「秘太刀馬の骨」
(文春文庫)


藤沢周平の隠れた傑作といわれている長編小説です。
推理仕立ての剣客小説といった体裁で、
始まりから終盤まで読む者をぐいぐい引き込んでいく、
かなり魅力的で面白い小説なのですが、
息子を亡くし、今でいう鬱病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に罹った妻を、
主人公がどう介抱し立ち直らせていくか、そのあたりの葛藤も作品に深みと幅を与え、この小説をさらに読み応え十分なものにしています。
読んでいると家庭のなかでの夫婦のやりとりなんて案外こういうものだろうなと、つくづく身につまされたりする描写に出くわします。
やっぱり夫婦はいたわり合わなければいけません(笑)

近習頭取の浅沼半十郎はある日、派閥の領袖、
筆頭家老の小出帯刀から呼ばれ、ひとつの仕事を命じられる。
それは、6年前に起こった、時の筆頭家老望月四郎右衛門暗殺事件で遣われたとおぼしき秘太刀馬の骨の探索に手を貸せというものだった。
秘太刀馬の骨は城下の不伝流矢野道場に伝わるとされる伝説の秘太刀で、
狂奔する暴れ馬の首の骨を一刀のもとに両断したと伝わる謎の秘剣。
誰も正体を知らず、またその存在も一部では疑問視されている。
そして半十郎は探索を任された小出帯刀の甥、
神道無念流の若い剣士、石橋銀次郎を紹介される。
紹介された石橋銀次郎は明るい美青年。
だがどことなく傲岸なところのある男だった。
半十郎は息子を亡くしたことで気鬱の病に罹った妻杉江を気遣いながら、
気の進まぬ探索に乗り出すが……

秘太刀馬の骨は不伝流矢野道場の先々代が工夫し編み出した剣法で、
以降代々伝わるものとされています。
だがいったい誰がその秘太刀を相伝したのか、皆目分からないということになってます。
実際に挑み我が目で確かめないと、誰がその秘太刀を持ってるのか分からない。
そういうことで現在の道場主矢野藤蔵をはじめ、
五人の高弟に石橋銀次郎が次々に挑んでいくといった、
謎解きのスタイルで小説は進行していきます。
不伝流では門外試合は掟で固く禁じられているし、
道場主も秘太刀が外に洩れることを憚って、
石橋銀次郎とは立ち会うなと五人の高弟に命じます。
誰も立ち会おうとはしないので、銀次郎はまず五人の高弟の身辺を探り、
弱みを握ってから立ち会いを強要していきます。
この過程で五人の高弟たちのエピソード、
銀次郎が探り出してくるそれぞれの秘密が小説の柱となり、
それに藩の政争と主人公と妻の関係が絡んできて、
たいへん面白い小説に仕上がっているというわけです。
読んでいてまず良いのは、なんというかリアル感ですね。
小説の舞台は五間川が出てきますからやはり海坂藩だろうと思います。
そこでの藩士の暮らしぶりとか、同僚であったり上役だったりの、
人と人の距離感、そして屋敷とか町の実在感。
これがなんとも云えず良いのです。
当然その当時の武家の暮らしや町並み、人との関係など誰も見聞きしたことはないので、
リアルというのはおかしいのかもしれませんが、
それをリアルと言い切れるほど、
読んでいてたしかな実像として立ち上がってくる、
その世界に自分が顔を覗かせている、そんな感じがします。
会話の中に出てくる
「そうでがんす」
「どうしたわけでがんしょ」
こういう訛りも一役買っている気がします。
剣客小説ですから、 剣や木刀での立ち会いのシーンもたくさん出てきます。
しかし超人的な、ワイアーアクションみたいな立ち回りは出てきません。
あくまでも地に足をつけた実際的な動き。
そのせいで、立ち会いのシーンはかなり迫力あります。
でも面白いことに主人公浅沼半十郎は一回も刀を抜かない。
こういう小説も珍しいですね(笑)
藤沢周平が立ち会いのシーンを書いているが、
一合、二合と刀を打ち合わす、
剣というのは躱すが基本で、お互いが刀を打ち合わすのは不自然。
ゆえにあういうのはあり得ない。
そう誰かが書いているのをどこかで読んだことがあります。
でも本当でしょうか。
誰もその時代に生きて、立ち会いを目撃したわけでは無いのだし、
よしんばそうだとしても、それではまるで小説にはなりませんね。
剣客同士が立ち会いをしたとします。
お互いが睨みあったまま、躱せるか、躱せないかを推し量り、
数刻経った後、お互いがくるりと背を向けてすたすたとその場を去る。
これではまるで禅問答です(笑)
そういう時代小説は読みたくありません(笑)
あたりかまわず抜いてのチャンバラ時代小説も興ざめですが、
この小説そのあたりはきちんとわきまえていて、少しも軽々しくない。
そこがなんともいえずいいですね。
藤沢周平は時代小説がエンターテイメントだということを知悉しています。
そこから小説を掘り下げていってる気がします。
この小説、とにかく魅力的です。

ブログランキングへにほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ
スポンサーサイト



2008-11-03(Mon) 22:28| 藤沢周平の世界| トラックバック 0| コメント 2

コメント

はじめまして。

藤沢周平大好きです。
書かれている本をざっと見ると、
私と好みが似ていて嬉しくなってしまいました。
時代小説、いいですよね。

2008-11-08(Sat) 21:23 | URL | みんころ #-[ 編集]

はじめまして、くろのブログに立ち寄って頂きありがとうございます。
 時代小説はあまり読む方ではないのですが、杉浦日向子の江戸風俗とか記したものは楽しく読んでいました。同じ土地で先人が色々楽しみ、また苦しんでいたんだなと思うと、何故か心が安まります。

2008-11-16(Sun) 06:41 | URL | 吹奏楽好き猫くろ #-[ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://rainbird07.blog80.fc2.com/tb.php/39-7fc0f525

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

ブログ内検索

カテゴリー

リンク

最近の記事

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。