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時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

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青春股旅小説-山本一力「草笛の音次郎」

「草笛の音次郎」

山本一力「草笛の音次郎」
(文春文庫)
山本一力「草笛の音次郎」

山本一力初めての股旅ものです。
いったいどんな風になるのだろうと思いましたけれど、
やっぱり明るくて爽やか(笑)
しかし分かってはいてもこれがけっこう痛快で面白いんです。
なんだかんだと一気に読んでしまい、
読後、その爽やかさから勝手に青春股旅小説と名付けることに(笑)
一読すればその感じが掴めると思います。

江戸の今戸に居を構える貸元、恵比須一家の親分芳三郎は引退を考えていて、三年後に跡目をお前に譲りたいと代貸の源七に告げる。
後の代貸は誰がいいかと源七に聞くと、源七は音次郎がいいという。
音次郎とは、深川黒江町に母およしと暮らしながら、
通いのやくざというちょっと珍しい若い者だ。
優男すぎると芳三郎は少し不服のようだった。
ちょうど芳三郎の兄弟分で、下総佐原の貸元、
小野川の好之助から香取大社の祭りに来ないかという誘いがあったが、
芳三郎は体調思わしくなく、名代を立てることにする。
その名代に源七は迷わず音次郎を推挙した。
源七から仁義の特訓を受け、
母親のおよしに道中支度万端を整えてもらうと、
懐に百両という大金を携え、
かくして音次郎の下総佐原への初旅がはじまる。
だが初旅はまごつく事ばかり、
さんざんな目に遭いながら旅を続ける音次郎。
そしてある宿ではとうとう強盗に遭遇することになるが……

この小説、青春股旅小説と名付けましたが、
股旅小説というのは要するにロードムービーなんですよね。
音次郎が行く先々で遭遇する出来事や、いくたの困難を乗り越え、
一人前の博徒として成長していく、そういう物語です。
まあ、やくざが成長していくことが良いことか悪いことかは別にして(笑)
義理も人情も分かるいなせな江戸前の博徒として、
好漢音次郎の明るい成長物語といったところでしょうか。
面白いのはこの音次郎に対する周りの扱いです。
音次郎が名代として初旅をすることが決まると、
母親のおよしはいそいそと道中支度を取りそろえますが、
これが三度笠から道中合羽に小物まで、
すべて江戸のブランド品ばかり(笑)
代貸の源七は音次郎に仁義の特訓をし、
鳥追いの母娘を音次郎のひそかなお目付役として送り出す始末。
音次郎はいわば恵比寿一家の幹部候補生ですが、
それにしてもかなりな過保護ぶりです(笑)
行く先々でもそうです。武士であれ、町人であれ、やくざであれ、
誰もが音次郎に目をかけ世話を焼く。
音次郎もそれに応える。
でもこのよってたかって世話する、
というのが、なんだかじつにいい感じです。
現実社会にはなかなか無いことですからね。

股旅というのは旅から旅へと股にかけてという言葉で、
起源は雲助や雲水が流れ歩く様であって、渡世人とは関係がなかった。
それを「一本刀土俵入り」や「沓掛時次郎」を書いた長谷川伸が、
博徒の旅を股旅とし、そういう戯曲や小説を股旅もの、としたわけです。
昭和のはじめの頃です。
酌婦お蔦への恩返しに股旅姿で四股を踏む「一本刀土俵入り」の駒形茂兵衛。
一宿一飯の義理からやむなく斬った相手の女房子供を守って旅をする沓掛時次郎。
長谷川伸の書く股旅ものというのはアウトローの義理人情の世界です。
それが時代を経て、笹沢佐保の「木枯らし紋次郎」が一大ブームを巻き起こし、
このとき股旅のヒーロー像がちょっと変わりました。
「あっしには関わりござんせん」
ニヒルです、キーワードは。
テレビの殺陣も長脇差(長ドス)の刃こぼれを嫌う突きが主体で、
リアルを追求しました。
学生運動なんかも時代背景にありましたから、
こういうキャラが受けたんでしょうね。
破れ三度笠に煮染めたような道中合羽。
この「木枯らし紋次郎」で、
股旅というのはかなり薄汚れたヒーローというのが定着したと思います。
ちなみに「帰ってきた木枯らし紋次郎」はもっとすごいことになってます。
年を取った木枯らし紋次郎はさらに汚れ方も凄みを増し、
長い漂白の末、継ぎ当てだらけの道中合羽は言うに及ばず、
手甲脚絆はまるでぼろ雑巾だという話です(笑)
で、平成の「草笛音次郎」です。
過保護かつ影のないこの音次郎。
博徒とはいえもはやアウトローとは呼べませんね。
新品ばかりの道中支度に身を固め、
股旅に不可欠の長脇差も持ってません(笑)
月代の剃りも青々として、いかにもという爽やか博徒(笑)
かなりなグルメだし、わきまえていて、なにより快活です。
木枯らし紋次郎とは正反対の地平にいるヒーローです。
明るすぎるほどのこの股旅小説。
でもこれ、れっきとした青春ドラマ+義理人情の世界なんですよね。
基調はといえば結局は長谷川伸以来の義理人情の王道なんです。
外してません。けっして(笑)
まあ、はるか長谷川伸の世界からこういうところへ来たか、という感じ。
アクの抜けきった股旅ヒーローがかなり新しい。
はっきりいって股旅小説というのは、
昨今あんまりパッとしないジャンルではありますが、
ちょっとこれ、シリーズにしてもらいたいところです。
いやかなり本気で(笑)

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2008-11-12(Wed) 01:51| 山本一力の世界| トラックバック 1| コメント 1

コメント

コメントしずらく、かなりマニアックですが私は好きです・・・

2008-11-12(Wed) 09:25 | URL | 松ちゃん #-[ 編集]

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