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時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

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江戸の窓際族-「物書同心居眠り紋蔵」

「物書同心居眠り紋蔵」


(講談社)


佐藤雅美の看板シリーズの第1集「物書同心居眠り紋蔵」です。
佐藤雅美を取り上げるにあたって、さてなにから始めるかと迷ったのですか、
やはりこのシリーズを中心にやっていくのが良いかと。
初めてこの居眠り紋蔵が登場したのは今から14年ほど前。
今年最新刊の「一心斎不覚の筆禍 物書同心居眠り紋蔵」が9冊目で、
息の長い人気シリーズになりました。
NHKの金曜時代劇でもこの居眠り紋蔵がドラマ化され、
そちらのほうも人気あるみたいです。
短篇連作の形でとっつきやすいのと、
なんせところ構わず眠ってしまう眠り病という奇病を持つ、
よれよれの中年物書同心、藤木紋蔵というキャラクターが秀逸(笑)
貧乏人の子だくさん。窓際同心で出世の見込みもとんとナシ(笑)
ナイナイづくしの紋蔵ですが、じつは気骨に溢れ、
判例を諳んじるほどの記憶力、そして推理力もバツグン。
剣術の腕前もなかなかのものらしい。
飄々とした紋蔵と周りの登場人物たちの会話も楽しく、
これはやはり人気シリーズになる要素をたくさん持ってますね。

「お奉行さま」

お光という十歳になる少女が大金の入っている紙入れを拾い、
正直に奉行所に届け出た。
三日晒しの立て札をしたが、落とし主は現れなかった。
その後やっと落とし主が現れるが、
落とし主の申し立てる金額と奉行書で保管している紙入れの金額とが合わない。
不審に思った紋蔵は独自に調査を始めるが……

居眠り紋蔵の記念すべき第一話です。
この話が後の居眠り紋蔵シリーズのスタンスを造り上げている感じがします。
この話、落とした金が小悪党の博打で稼いだ金で、
おいそれとは名乗り出られなかった。
しかし財布の中身については真実。
そうなると健気に病気の父親や弟妹の面倒をみているしっかり者のお光が、
金をくすねたことになる。最後はそう匂わせている。
悪党の真実、正直者の嘘が綱引きして、痛み分けという形で決着します。
普通の捕り物帖みたいに明解にやらない。
清濁併せ残る一筋縄ではいかない展開と結末。
これが居眠り紋蔵のお話のスタンス、
通底基調になっている感じがします。

「女敵持ち」

ある日紋蔵は危うく無銭飲食で突き出されそうになったひとりの武士を救う。
その武士の名前は山岡主計。
じつは女敵持ちだった。出入りの絵師に妻を寝取られ、
ふたりは手に手を取って逐電。
怒った藩主は女敵をせよ、ふたりを討ち取れと山岡に命じた。
山岡は江戸でふたりの居場所を突き止めたらしく、
奉行所にも女敵許可の願いを出す。
だがいっこうに女敵討ちをする気配がない。
その山岡が、八丁堀の子弟たちが多く通う手跡指南所に雇われる。
優秀な師匠で生徒にも人気があったが、
そのうち父兄たちから、
女敵持ちの山岡主計は指南所の師匠としては不適切との声が上がり始める。
暇だと思われている紋蔵は筆頭与力の安藤覚左衛門に呼ばれ、
山岡主計をなんとかしろと命ぜられるが…

この話、山岡主計という武士が面白いです。
紋蔵とかなり通じる部分がある。
本人は女敵討ちなどするつもりは全くありません(笑)
じつは妻と逃げた絵師は元浪人でかなり腕が立つ。
立ち会ったとしても逆に斬られるだけだと分かっているから、
そんなあほらしいことはやってられませんというわけです。
藩主もそのうち忘れるだろうし、
もっと辛抱強く待ってれば藩主もいつか死ぬでしょう、みたいな(笑)
それでふたりの居場所が分かっても全然近寄らない(笑)
それを組織の人間だから上役の命には従わざるをえない紋蔵が、
指南所をやめて、早く女敵討ちをするなり、どこかに行くなり、
なんとかしてくれと説得に行く。
でもぬらりくらりとはぐらかして居続ける。
このあたりのやりとりがなんだか面白い。
最後に江戸を出る山岡と、
見送りにきた紋蔵が一杯飲むことに。
紋蔵が山岡を理解し、共鳴した証拠です。
紋蔵は当然仕事をさぼります(笑)

紋蔵の眠り病というのは作家の故・阿佐田哲也氏も悩まされていたという、
睡眠障害のひとつであるナルコレプシーかな。
日常のなんでもないときにふっと眠り込んでしまう。
ひどくなると歩いているときでも眠りに襲われ、意識を失うとか。
紋蔵はここまでひどくは無いようですが、
軽度のナルコレプシーというところでしょうか。
それがために上から外に出すなと言われて内勤の窓際三十年。
すでに四十過ぎです。
いっこうに風采の上がらない紋蔵からイメージするのは、
アメリカのTVドラマ「刑事コロンボ」でしょうか。
でもあんな押しの強さ、しつっこさはなくて、
もうちょっと平凡な市井人という感じ。
その証拠に慎ましく暮らす紋蔵一家の様子がほほえましく描かれています。
妻の里、紋太郎に紋次郎、稲、麦、妙の三人娘。
長女の稲は上司の与力蜂屋鉄五郎の息子鉄哉となにやらあるらしい(笑)
五人いる子供たちの成長も見所です。
蜂屋鉄五郎に加えて、紋蔵の幼なじみで大座配の元締捨吉。
魅力的な脇役も揃って、このシリーズ大いに楽しみです。

そのほかの収録作品

「不思議な手紙」
「出雲の神様」
「泣かねえ紋蔵」
「浮気の後始末」
「浜爺の水茶屋」
「おもかげ」

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2008-12-18(Thu) 00:44| 読み捨て御免!| トラックバック 0| コメント 0

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