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時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

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風狂の華-北原亜以子「江戸風狂伝」

「江戸風狂伝」


(中公文庫)


新年早々パソコンの故障で、久しぶりの更新となってしまいました。
最近は何をするにもパソコンですから、
無いと本当に何も出来ません(笑)
いかにパソコンに頼り切った生活をしているか痛感させられます。
さて今年の時代小説読書録。
あれこれ読んでまな板に乗せたい作家、作品は数あれど、
本業もあることですし、
順調に更新していくのは難しいとは思いますが、
出来る限り時代小説の魅力を伝えていきたいと思っています。
本年もよろしくお願いします。
今年の口開けは北原亜以子です。
宇江佐真理に続いて二人目の女性時代小説家。
北原亜以子はかなり多作なので、読んでみたい作品もいろいろあります。
人気のある「慶次郎縁側日記」シリーズなんかも楽しみですが、
今回手に取ったのは1997年、第36回女流文学賞の「江戸風狂伝」
江戸の富豪で犬公方徳川綱吉に伊達くらべを挑んだ石川屋六兵衛とその妻およし。
刃傷事件を起こした稀代の天才平賀源内。
伝説のゴシップ作家&講釈師馬場文耕など、
じつに興味深い人物たちの、
その風狂の姿を描いた作品集です。
表題の風狂というのは、風雅がきわまり、
もはや狂気に近いことをいうのですが、
禅宗においては悟りの境涯として重要視されます。

「伊達くらべ」

浅草黒船町に店を構える御用商人石川屋六兵衛は、
江戸に名だたる富豪である。
世は将軍綱吉の時代。
容赦のない性格の綱吉は市中に隠し目付を放ち、
罪あるとしたものを有無を言わせず引っ立てた。
幕臣たちも綱吉の性格に戦々恐々としている。
六兵衛はそんな世の閉塞感にいいしれぬものを感じていた。
ある日六兵衛は妻のおよしに将軍様と伊達くらべをしてみたいと相談される。
以前京都の商人の妻と伊達くらべをして勝ったおよしは、
もう将軍様しか相手はいないという。
比類なき美しさとお洒落好き、
およしは六兵衛にとってかけがえの無い妻である。
しかし将軍様相手では、まかり間違えれば咎人となる。
それでも六兵衛はおよしの心意気を尊重し、
協力を買って出る。

天和元年(1681)5月、将軍綱吉が上野寛永寺に参詣したとき、
上野広小路を通りかかると、ひときわ見事に飾り立て、
自分を迎えている女性が目についた。
彼女は金の簾をたれ、金の屏風を引き回した前に、
美しく着飾らせた7人の女中を従えていた。
調べると浅草黒船町の町人石川六兵衛の妻だという。
綱吉は奢りが過ぎるとして怒り、
六兵衛一家を奢侈の咎で闕所処分(財産没収のうえ追放)の刑にする。
六兵衛の妻の申し立ては「将軍の行列に伊達くらべをしかけたまで」
というのであったが。

この話は戸田茂睡という人の書いた「御当代記」に記載されています。
元禄期は町人の富裕階層が新興の支配階級として台頭してきた頃で、
有り余る金で豪奢な生活をし、妻たちは衣裳を競い合いました。
その衣装くらべを伊達くらべといったんですが、
贅と粋を尽くした伊達くらべは元禄期を代表する社会風俗だと言えます。
その伊達くらべを将軍に仕掛ける。
無謀というか痛快というか(笑)
でもこの小説に描かれた顛末は、
新興支配階級のただの驕慢という感じはありません。
闕所処分覚悟で二人で仕掛ける伊達くらべは、
もう元禄のデカダンスといっても差し支えない。
およしは気高いアンニュイの匂いさえします。
最後に江戸を追われた二人は、
風狂に殉じた満足か、
屈託のない笑顔を浮かべ西へと旅立っていきます。
それがまたなんとも……
なんにも無くなったのにね(笑)

「いのちがけ」

講釈師文耕は語らずにはいられない。
郡上一揆の顛末を農民側から描いた「珍説もりの雫」を引っさげ、
7日間の連続語りに挑戦しようというのである。
郡上一揆には幕府の役人も加担し、
その詮議が行われている最中である。
幕府の政事を批判すれば、下手をすると死罪である。
世間は郡上一揆の噂でもちきりで、
文耕の演じる小屋には大勢の人々が詰めかけていた。
弟子も周囲も決してやり過ぎるなと注意する。
文耕も俺は馬鹿じゃない、登場人物の名前を変え、
うまく誤魔化して演じるさ、と考えていた。
文耕と郡上一揆の関わりは、
江戸で直訴に及ぼうとしていた農民のひとり、
善七を助けたことに始まる。
善七は直訴の前に逃亡して行方不明になっていたが、
その後善七の妹おしずが文耕を訊ねてきて、
今ではわりない仲となっていた。
やがて演目が始まり、
当初誤魔化して演じるつもりだった文耕。
いったん始まれば次々と実名を出して演じ、
小屋は次第に白熱していく。

2000年に緒方直人主演で映画にもなった宝暦郡上一揆。
数ある一揆の中でも、
唯一農民側が勝利したとされるものです。
一揆後には郡上藩は取り潰しになり、
幕府の重職も何人かが罪に問われ、処分を受けています。
のちに講談の主流となる世話物の分野を開拓した講釈師馬場文耕は、
この郡上一揆を扱った「珍説森の雫」を演じ、
さらに本にして売ったかどで捕まり、死罪になります。
この小説、抑えても、抑えても語らずにはいられない、
破滅に向かうと分かっていながら思いとどまることが出来ない。
馬場文耕という生まれながらの講釈師、
そのどうにもならぬ「口舌の業」をうまく描いています。
馬場文耕の行動は、
重箱の隅まで暴き立てずにはおかない、
現代マスコミにも似ていますが、
違うのは言論の自由など露ほども無かった時代に、
死を賭して果敢に権力を批判した精神でしょうか。

他にも浮世離れした池大雅夫妻を描いた「あやまち」、
奇想の浮世絵師歌川国芳を描いた「臆病者」
大身の旗本と遊女の心中で有名な藤枝外記を描いた「やがて哀しき」など、
この作品集、感動できるという類のものではありませんが、
江戸の市井で風狂に生きた人々の特異な姿が印象的で、なかなか面白いです。
まあ少し展開についていけないというか、
もっと言えば話が要領を得ないというか(笑)
そういうところもありますが、
北原亜以子、次が楽しみです。

そのほかの収録作品

「あやまち」
「憚りながら日本一」
「爆発」
「やがて哀しき」
「臆病者」

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2009-01-07(Wed) 22:08| 読み捨て御免!| トラックバック 0| コメント 3

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2009-01-08(Thu) 14:13 | | #[ 編集]

初めまして☆あしから来ました。渋めですね(^^ゞ
maimaiも読書好きです

2009-01-09(Fri) 22:26 | URL | maimai #-[ 編集]

こんにちは。ご訪問有難うございます。ファン登録させていただきました。今後もよろしくお願いいたします。

2009-01-12(Mon) 13:04 | URL | 天 音 #-[ 編集]

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