プロフィール

-rainbird-

Author:-rainbird-
時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

フリーエリア

ランキング

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

ブックマーク

スポンサード リンク

Link

フリーエリア

RSSフィード

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



--------(--) --:--| スポンサー広告| トラックバック(-)| コメント(-)

マイホーム・サムライの憂鬱-佐藤雅美「物書同心居眠り紋蔵-隼小僧異聞」

「物書同心居眠り紋蔵-隼小僧異聞」

佐藤雅美「物書同心居眠り紋蔵-隼小僧異聞」
(講談社文庫)


物書同心居眠り紋蔵の第二弾です。
第一弾からの話の流れは続いており、
時間の経過とともに以前の事件がうまく組み込まれています。
窓際同心の紋蔵さんは相変わらずで、
奉行所でも暇を持て余している人物だと見られているらしく、
次から次へと変な事件が持ち込まれます(笑)
その変な事件を、颯爽と解決する、ではなくて(笑)
コツコツと心当たりを尋ねて回り、
ああでもない、こうでもないとひねくり回し、
いざ見当をつけても深くは踏み入らない。
どうにも頼りない風なのですが、今回の紋蔵さんはツキにツイているらしく、
思わぬところで手柄を立てたり、大金が転がり込んできたりします。
そのことで胃が痛くなるような思いもするのですが、
おおむね平穏無事に結末を迎える。
その結末も、いつものように黒白つけません。
グレーっていえばグレーですが、これがいい(笑)
温情溢るる紋蔵さんの解決の仕方は、彼の深い人間性を示唆してます。
解説の誰かが書いてましたが、このシリーズを指して
「ホームドラマ的時代劇」だとか。言いえて妙ですね。
家族だの友人だのの、あれやこれや。
それに同僚や上役が持ち込む様々なこと。
それらに紋蔵さんは出過ぎず、さりとて引っ込み過ぎず、
いい具合の歩幅で事にあたります。
マイホームパパの紋蔵さん。
今回は子沢山の家族にも大きな変化が起こり、ちょっと寂しい思いもします。

「落ちた玉いくつウ」

大店の油屋が火事で焼け主人夫婦や奉公人全員が焼死し、
十四になるひとり娘の喜代だけが生き残った。
娘は家の隠し穴蔵には百五十両の金が隠されていると母から聞かされていた。
喜代は焼け跡を調べたが探し出せなかった。
借金のあった油屋の地所は、札差の伊勢屋に家質として差し押さえられる。
伊勢屋は穴蔵の金のことを知ってか知らずか、地所を塀で囲ってしまった。
そしてすぐさまに売ってしまう。
焼け跡には新しい店が建ち、もう調べることは出来なくなった。
ある事件の関わりでそのことを知った紋蔵は、
飲み屋の下働きとして働き出した少女にそれとなく会いに行くのだが…

新しく建った店が放火され、少女が犯人として捕らえられるのですが、
敢然と黙秘を続け、やがて自害してしまいます。
本当に隠し穴蔵に金はあったのかどうか。
あったのなら、それを誰が盗ったのか。
果たして放火の犯人は少女であったのかどうか。
なんら解決しないまま、死んだ少女の墓の前で手を合わせる紋蔵さん。
江戸時代には放火は重罪で、ボヤでも火あぶりの刑になりました。
八百屋お七は有名ですね。彼女はそのとき十六歳になったばかり。
当時は十五歳以下は罪一等が減じられたので、
裁きの場で町奉行の甲斐庄正親はお七を哀れみ、
「お七、お前の歳は十五であろう」と謎をかける。
でもお七は自分は十六だといって譲らなかったといいます。
それで火あぶりになった。
お七が十五だといえば流罪ぐらいになったでしょう。
でも少女が八丈島へ流罪になるのは本当に過酷です。
死ぬよりはるかに辛い。
十四のお喜代もそのことを知っていたのかも知れませんね。
結局は何も語らなかった少女の心に寄り添うように、
心優しい紋蔵さんは墓前に手を合わせます。

「紋蔵の初手柄」

ある日紋蔵は奉行に呼ばれ、とうてい信じられないことを聞く。
それは入牢の証文もない男が長年牢屋に居るということだった。
そしてその男は記憶を失っているという。
名無しの権兵衛と呼ばれていた。
なぜその男が牢に居るのか、男は果たして罪を犯しているのか、
そして男はいったい誰なのか。
紋蔵は男の身元を密かに探るよう命じられる。
しかしまるで雲を掴むような話である。
定回り同心への昇進をほのめかされた紋蔵は、
しぶしぶ承知し、男の身元を探り出そうとするのだが……

面白い話ですよね(笑)
どこの誰だかわからない男が牢屋に紛れ込んで囚われている。
それも何年も(笑)
すっとぼけた話だけど、こういう話が紋蔵には良く似合います。
この事件を調べていくうちに、ひとりの失踪人に行き当たり、
その失踪人を殺した疑いのある大泥棒の男と情婦を捕まえ、
紋蔵は思わぬ大手柄を立てます。
結局権兵衛の身元は分からずじまいでしたが、
殺されたはずの失踪人がじつは権兵衛で、
泥棒だった可能性が高いと紋蔵は目星をつけます。
しかし記憶の何もかも失い、牢屋でおとなしく暮らしている権兵衛。
それ以上の追求は詮方ない。
権兵衛の処置に困った奉行所は牢から出そうとしますが、
本人は出たがらない。
仕方なく牢奉行の役宅で働かせることに。
それを聞き、わざわざ恐れながらと訴え出て、あえて罪人を作ることはない。
ま、いいかと思ってしまう紋蔵さんでした(笑)

このほかにも紋蔵が間男に間違われる(笑)
「沢瀉文様べっ甲蒔絵櫛」
娘の手習いの師匠のために金を握らせて、
やりもしない盗みを盗賊に自白してもらう表題の「隼小僧異聞」
いいのか、おいっという感じです(笑)
そして島帰りの男と大身の旗本のお坊ちゃまの意外な繋がりと、
紋蔵の粋な見てみぬふりが泣かせる「島帰り」など、
それぞれに楽しく読ませます。
居眠り紋蔵シリーズの良さは、やはり家族が絡んでくるところですね。
いろいろ気苦労もあるけど、家族のためだったらなんにも厭わない紋蔵。
武家の封建的な家長制度と、
家族思いのマイホーム・パパぶりが不思議にマッチしてます。
ところで今回は長女の稲が、
両想いだった蜂屋家の次男鉄哉とめでたく祝言を上げ、
家を出ていきます。
そして長男の紋太郎も、見込まれて北町の与力の家に養子にいく事に。
家族大事のマイホーム・サムライにとって、
家族の数が減るというのは、どうにも隙間風の吹くことのようです。
そのあたりの紋蔵さんの姿と、軟着陸の結末が相まって、
噛めば噛むほど味の出る、
ほんにスルメのようなシリーズですね。これは(笑)

そのほかの収録作品

「沢瀉文様べっ甲蒔絵櫛」
「罪作り」
「積善の家」
「隼小僧異聞」
「島帰り」
「女心と秋の空」

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
スポンサーサイト



2009-01-27(Tue) 22:08| 読み捨て御免!| トラックバック 0| コメント 4

コメント

名古屋の絞りマン

はじめまして、本はあまり読まないけど、時代劇には興味があります。そして、いまは、大河の天地人にはまっています。そこで、原作はちがうけど、童門冬二さんの直江兼続を買い、いま、読破中です。やはり、上杉関係は、童門さんですね。

2009-01-30(Fri) 18:56 | URL | su3824 #-[ 編集]

Re: 名古屋の絞りマン

藤沢周平にも直江兼続を描いた「密謀」という小説があります。なかなかいいですよ。それから上杉鷹山を描いた「漆の実のみのる国」これもおすすめです。
童門冬二とは少しアプローチが違うと思いますが、ご一読を(笑)

2009-01-31(Sat) 02:09 | URL | -rainbird- #-[ 編集]

早速のREありがとう

参考にさせてもらいます。いま住んでいるところが、あの桶狭間の戦いで有名な桶狭間です。それで、1560年ぐらいの年代にとくに、興味があります。これからもよろしく。

2009-01-31(Sat) 13:04 | URL | su3824 #-[ 編集]

こんにちは。
先日は当ブログにおこしいただきまことに
ありがとうございます!とっても素敵なブログ
ですね(´∀`)早速記事の方をジックリと拝見させて
いただきます。
それでは!

2009-02-01(Sun) 02:26 | URL | 喰川 #-[ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://rainbird07.blog80.fc2.com/tb.php/60-34ad2676

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

ブログ内検索

カテゴリー

リンク

最近の記事

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。