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時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

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泣き銀はツインピークス-宇江佐真理「泣きの銀次」

「泣きの銀次」

(講談社文庫)


宇江佐真理のデビュー作は「幻の声―髪結い伊三次捕物余話」
これで直木賞候補になり、
宇江佐真理は一躍時代小説の新たな書き手として注目を集めたわけです。
で、この「泣きの銀次」は宇江佐真理の長編2作目の作品。
この小説の成り立ちについては、
「泣きの銀次を書いた頃」というエッセーで宇江佐真理自身が語っています。
なんと宇江佐真理はこの「泣きの銀次」で作家デビューを目論んでいたそうです。
少なくとも「髪結い伊三次」よりは前の作品。
当然伊三次シリーズに与えた影響は大でしょうね。
この小説の魅力はなんといっても銀次という岡っ引きの設定です。
大店の小間物問屋の跡取りでありながら、
妹の死をきっかけに十手持ちとなった変り種。
この男には極めつけの奇癖があります。
それは死体を見れば、なぜかところ構わず大泣きしてしまうこと(笑)
「泣きの銀次」というありがたくない綽名を頂戴しています。
でも韋駄天走りであり、剣を取ったら馬庭念流の遣い手。
「地蔵橋の泣き銀」と呼ばれるほどの腕っこきです。
このネーミングがカッコイイですね(笑)
やはり人物設定が秀逸。

大店の小間物問屋「坂本屋」の跡継ぎであった銀次。
ある日妹のお菊が習い事の帰りに暴漢に襲われて殺される。
銀次はお菊の死体の前に身も世もなく泣きじゃくった。
そして自分の手でお菊を殺した下手人を挙げると心に決め、
事件を担当していた定回り同心の表勘兵衛の小者になり、
岡っ引きとしての道を歩むことに。
それから十年。
銀次は今でも死体を見たら泣きじゃくる。
「泣きの銀次」というありがたくない綽名も頂戴している。
だがそんな銀次を、あれが「地蔵橋の泣き銀」と、人は二つ名で呼ぶ。
腕っこきの岡っ引きとなった銀次。
相変わらずお菊殺しを追っている。
お菊の事件の前後に起こる猟奇的な殺人事件を調べていくと、
いつしか叶鉄斎というひとりの学者に繋がった。
お菊を殺したのはこの男ではないかと銀次は目星をつけるが、
鉄斎はなかなか尻尾を出さない。
そんなとき、毒を使った押し込み強盗の未遂事件が起こる。
狙われた酒屋の内儀は、
昔吉原にいた番頭新造の雛鶴で、銀次の元恋人だった。

お菊殺しの犯人との駆け引き、
銀次の実家「坂本屋」も狙われる毒を使った押し込み強盗事件。
この二つの事件を主軸に物語は展開します。
でもある時点まで読み進むと、事件の内容はだいたい見えてきますので、
捕物帖として本格的な謎解きを期待するとちょっとがっかりします(笑)
岡っ引きとしての銀次の活躍はあまりなく、
それよりも人情捕物帖として読むほうがずっとわかりやすくていい。
この小説の読みどころは銀次という人間の魅力、
そして銀次を取り囲む人々でしょう。
銀次はもとは遊び人の若旦那。
わがままなところも抜けきってないのがご愛嬌(笑)
ですが、でもそういう銀次が仏に当たっては、
自分では制御しがたく泣きじゃくる(笑)
妹を失ったときの慟哭が脳裏を離れないんですね。
どんな命であれ、それを愛しみ、涙を流す。
こういう銀次の個性は、
今までに歴代の捕物帖の岡っ引きには無かった要素。
意表をついたキャラクターと言えそうです。
物語の大筋は捕物というより、
銀次と銀次に捕物のイロハを教えた老岡っ引きの弥助の娘、
お芳との恋物語が主といっていいように思います。
お芳は大の岡っ引き嫌い。
母親の臨終に弥助が来なかったことで、
弥助を恨み、岡っ引きという存在を嫌っています。
これはまあ、刑事ドラマなんかでよくあるパターン(笑)
でもこれが舞台が江戸時代となると、
なぜかこの手垢のつきまくった設定が、
妙に新鮮に見えるから不思議です。
岡っ引き嫌いの岡っ引きの娘と、
もと大店の若旦那出身の岡っ引き(笑)
じつにユニークな取り合わせです。
そういうお芳と銀次が、お互いの存在が次第に大きくなり、
そしてかけがえの無い存在だと、気づいていく。
その過程の言葉のやり取り、仕草がとても沁みて来ます。

ちなみにこの泣く岡っ引きという設定は、
話題になったアメリカのTVドラマ「ツインピークス」がルーツだそうです。
昨今は海外TVドラマが大流行ですが、
「ツインピークス」はその草分け的存在でした。
「世界で最も美しい死体」というキャッチフレーズで、
クセ者監督のデヴィッド・リンチが作ったやつです。
監督自身も出演してましたね(笑)
この「ツインピークス」に登場する、
気が弱く、凄惨な場面に遭遇すると、
思わず泣き出してしまうアンディ保安官補がヒントだとのこと。
そういえば死体写真を撮りながら、
保安官補が泣き出してしまうとこがあったような……
あんまりよく覚えてませんが(笑)
泣き銀のルーツは意外なところにありました(笑)
続編も出ていますが、銀次の10年後だとのこと。
お芳との間に生まれた子供たちもたくさんいて賑やか。
子供が登場すれば、宇江佐真理の独壇場ですからね。
とても楽しみです。
不惑の銀次。
さてどんな風になっているのやら(笑)

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2009-02-19(Thu) 11:01| 宇江佐真理の世界| トラックバック 0| コメント 4

コメント

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

2009-02-24(Tue) 01:23 | | #[ 編集]

宇江佐真理はおもしろい

宇江佐真理の作品には当たりはずれがなく、
どれを読んでも期待通りですね。
面白いですよね。

2009-02-24(Tue) 08:48 | URL | ふくろう #kZB9b/iA[ 編集]

Re: タイトルなし

ちまりさん

拙い文を誉めていただいて、ありがとうございます。

私も同じですね。

ときどき誰かのブログを拝見していて、

コメント書きたいときがあるけど、気の利いたことが思い浮かばなくて……

で、結局やめます(笑)

その点、管理者だけが読める鍵付きというのはいいですね。

思いついたこと何でも結構ですので、鍵付きでまたコメントくださいね(笑)

                          rainbird




2009-02-24(Tue) 23:53 | URL | -rainbird- #-[ 編集]

あたたかいお言葉...

ありがとうございます(*^▽^*)

2009-03-05(Thu) 01:35 | URL | ちまり #-[ 編集]

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