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時代小説、映画、JAZZ、それらを大人の楽しみとして愛でること。雨の夜の鴉のごとく、耳鳴りとともに日々の悪夢に苛まれつつも。

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お江戸の家族力-山本一力「だいこん」

「だいこん」
山本一力「だいこん」
(光文社文庫)


「あかね空」で直木賞を受賞した2002年から「小説宝石」に連載され、
2005年に刊行された作品です。
父親の賭場での借金が原因で、貧乏を余儀なくされたひとりの少女が、
持ち前の知恵と才覚で一膳飯屋を開業し、
一家をまとめて商いの華を大きく咲かせていく江戸版細腕繁盛記。
同年の後半に「梅咲きぬ」が刊行されていますが、
これも老舗料亭に生まれたひとりの少女が、
母親の厳しい英才教育に歯を食いしばって耐え、
己れの器量を大きく開花させていく物語でした。
どちらも人情成長小説のジャンル(そう勝手に名づけてます(笑))
山本一力作品の中で、女性が主人公の小説では双璧かも知れません。
決定的に違うのは、山本一力言うところの家族力かな。
題名の「だいこん」も妙題です。
例えば「花だいこん」とか「だいこんの花」なんてつけがちですが、
まんまの「だいこん」真っ白で気取りなく、まさしく家族の味です。
江戸は深川が小説の舞台となる場合が多い山本一力作品。
でも今回は違って、
浅草方面から墨田川を本所へ渡る吾妻橋周辺が舞台となっています。

つばきは深川の木場跡に新しい一膳飯屋「だいこん」を普請していた。
浅草で一膳飯屋「だいこん」を立ち上げ、成功させたつばき。
大きくなった「だいこん」はいつしか酒を出す店になっていた。
店の常連客である豊国屋木左衛門に、
「昼間の店を成功させてこそ本物の商人だ」と言われ、
商人としての証し、そして意地を示すため、
「だいこん」を人に譲り、昼間の一膳飯屋だけで商いを成功させるため、
深川へとやってきたのだった。
そんなつばきにある日深川の地廻りの若い渡世人が訪ねて来る。
地元の顔役、閻魔堂の弐蔵が顔を貸せと言ってきたのだった。
臆すことなく出かけたつばきだが、弐蔵の顔を見て驚く。
弐蔵はその昔つばきの父親安治を賭場に誘った伸助だった。
賭場で十両の借金を背負い込んだ安治に、
容赦ない取立てを行い、一家を貧乏暮らしに追い詰めた張本人だった。
つばきは弐蔵の顔を見ながら、
一家の歳月に起こった様々な出来事を思い起こしていた。

わずか17歳で一膳飯屋「だいこん」を開業し、
天才的な飯炊きの才や確かな味覚、そして洞察力とアイデアを駆使して、
「だいこん」を人気店に押し上げていくつばきの物語です。
「だいこん」は今ならいわばバイキング風の一膳飯屋です。
それを採算の取れるものに仕上げていくつばきの手腕。
そして何よりも客を第一とする考え。
それが客が店をとても大事にすることに繋がり、
人が人を呼び、人気店として不動のものになっていく。
小説「だいこん」は小気味よい経済小説の趣があります。
でも忘れてはならないのは、ひとりの少女の細腕繁盛記であると共に、
結束して困難をひとつずつ乗り越えていく家族の物語でもあるということですね。
「梅咲きぬ」は老舗料亭を守るため、
厳しい修行に跡取り娘である玉枝が耐えていく。
守られるべきしきたりと約束事のなかにも、
常に江戸の先端を目指す若き女将が主役でした。
そのためか一種の芸道小説のような趣があります。
家族の影がとても薄い。
父親はいませんしね。
「だいこん」は家族の存在がとても色濃い。
とりわけ父親の存在が大きいですね。
酒と博打にだらしないが、職人としては知恵と技に長けた腕のいい大工。
人間臭い江戸の職人像と父親像がうまくクロスしています。
たまに家族を泣かすけど、己の過失は己でどこまでも背負い、
家族を守って奮闘する父親。
つばきの商才の開花を促すかたちで、
家族はこの父親の安治を中心にして結束し、
困難を乗り切っていきます。
父親像の消失が言われだして久しい昨今ですが、
本当にこういう父親はもう居ないのでしょうか。
ま、自分のことは棚に上げてですが(笑)

ところでこの「だいこん」
時代考証が不正確であるとよく言われています。
江戸三大大火のひとつ、
明和九年二月(1772)に起きた目黒行人坂の大火。
少女つばきが天才的な飯炊きの才を発揮するのは、
この大火の炊き出しでした。
江戸っ子は明和九年は「めいわくな年だった」
なんてシャレのめしていますが(笑)
大規模な火災で死者も相当な数に上りました。
この火事は放火が原因。
で、その犯人を捕まえたのが、
かの鬼平こと長谷川平蔵の父親、
火付盗賊改長官である長谷川宣雄でした。
ま、こんな話はどうでもいいんですが(笑)
つばきはこのときに認められ、吾妻橋たもとの火の見櫓に、
母親と共に飯炊きとして雇われます。
で、ここが問題(笑)
じつは吾妻橋が完成したのは、
目黒行人坂の大火の2年後、1774年なんです(笑)
小説ではつばきが三歳のときにはもう吾妻橋はありますから、
ずいぶん前に完成していたことになります。
時代考証をうるさく言う人は気になるでしょうね。
物語(嘘)なんだから、いいじゃないという人と、
いや物語だからこそ、そういうところで違うと根こそぎダメなんだという人、
様々だと思います。
個人的には目くじら立てるほどじゃないと思ってますが、
山本一力は「銭売り賽三」でも同じように、
吾妻橋を実際の時代より早く架けてますから、
これはもう吾妻橋に関しては、
うっかりというより確信犯ではないかと、
そう思ってます(笑)

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2009-02-24(Tue) 18:29| 山本一力の世界| トラックバック 0| コメント 1

コメント

はじめまして

あし@からおじゃましました。

私も読書は大好きなんです。
時代小説は若いころは興味はなかったのですが、「たそがれ清兵衛」とか「蝉しぐれ」とか映画を観に行って興味がわいて、「蝉しぐれ」は単行本で読みました。「あかね雲」もDVDでみました。

年を重ねたからでしょうか、この頃は「人情」とか「家族の絆」とかに魅かれるようになりました。

「だいこん」も読んでみたくなりました。

またお邪魔させていただきます。


2009-02-25(Wed) 19:54 | URL | katton!! #-[ 編集]

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